園芸学研究
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発育制御
低温遭遇量の異なるセリの生育に及ぼす日長の影響
遠藤 柳子金浜 耕基
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2004 年 3 巻 1 号 p. 85-90

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抄録

出荷規格の優れるセリを栽培する上での基礎資料を得ることを目的として,‘青森系’,‘仙台系’,‘島根みどり’および‘みやぎVWD1号’を供試して日長がランナーの発生,節間伸長および着らいに及ぼす影響を調べた.10月に主枝をプランターに植え付けて自然条件下で育て,11月6日から翌年の3月27日にかけて最低気温を10℃,日長時間を8時間および24時間に調節した温室に搬入した.その結果,いずれの時期に搬入しても,ランナーの発生に及ぼす日長の影響は認められなかった.節間の伸長は,いずれの時期に搬入しても,長日によって促進された.搬入から節間伸長を開始するまでの日数は搬入時期が遅れるほど早まり,日長時間および系統間の差も小さくなった.いずれの系統においても,24時間日長では8時間日長に比べて節間長が長く,着らいは24時間日長でのみ認められ,8時間日長では7月上旬まで育てても着らいしなかった.
以上の結果,基部節間の短い出荷規格の優れたセリを収穫するためには,低温に遭遇しないで短日条件下にあることが必要であるとみられた.また,出荷調製作業の省力化のためにはランナー発生が少ないことが望まれるが,ランナー発生は日長時間に影響されなかったので,日長処理によるランナー発生の抑制は困難であると考えられた.

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© 2004 園芸学会
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