リンゴ‘王林’の高温誘導早期みつ症状の発生に及ぼす果実に対する日射量の影響を検討するため,簡易積算日射量測定システム(オプトリーフ)を使用した.オプトリーフは30℃以上の高温条件下でも正確な積算日射量の測定が可能であった.Rタイプではいずれの方位の日射量とも平均果実温度と極めて高い有意な相関を示した.3回の実験データをひとまとめにして解析した場合にも,各方位の平均相対日射量は平均果実温度や最高果実温度と1%レベルで有意な相関が認められた.果実の日射量はみつの発生程度や果肉硬度,果糖,ブドウ糖,ソルビトール,全糖などの果実形質とも有意な相関が認められた.また,みつの発生程度は果実温度や果肉硬度,ソルビトールとの間に正の相関が見られ,特にソルビトールとの相関が強かった.以上の結果から,日射によって果実温度が高まることにより,果実内にソルビトールが蓄積し,‘王林’果実に早期みつ症状を発生させることが示唆された.