抄録
マルチ栽培したウンシュウミカン樹の夏期の水分動態について検討するために通気式蒸散測定システムを作成した. 9月の1樹当たりの蒸散量は22~25 literであり, 果実の収穫量と比較すると根から吸収されたほとんどの水は, 葉から蒸散し, 果実に蓄積された量は少なかった. 蒸散量と気象条件の関係を検討した結果, 日射量との間に高い相関が認められた. 本測定システム計測によって得られた蒸散量を基本とし, マルチ被覆をしたときの蒸散について検討した. マルチ被覆し土壌を乾燥させることにより蒸散量が減少し, その程度は栽培圃場では, 日によって異なり0~40%で, 平均15%減であった. また, 土壌面からの蒸発について検討した結果, マルチ被覆を行うと土壌から蒸発する水の量は, 裸地の場合の30%程度に減少した. これらの結果をふまえてマルチ栽培に関する注意点などを論議した.