2005 年 4 巻 3 号 p. 319-322
スイカ‘祭ばやし777’を用い, 北海道における4月下旬定植の裾換気型トンネル栽培において, 生育初期の換気方法と親づる摘心の有無が生育, 収量および果実品質に及ぼす影響について検討した. 定植後約4週間トンネルを密閉したところ, トンネル内の日最高気温は最高で約50℃に達したが, 開閉による換気を行った慣行区と比べ, 葉焼け程度に有意差は認められなかった. 生育は密閉区でやや優る傾向が認められた. 着果節位は慣行区で平均14節前後であったのに対し, 密閉区で18節前後と上昇した. 糖度および良果収量は密閉区で高くなった. 親づる摘心については, 処理間で一定の傾向は認められなかった. 密閉処理終了後の約2週間について, 裾部をわずかに開けた状態で固定した場合に, 慣行に比べ若干生育が促進される傾向が認められ, 糖度も高くなった. 個体当たりの総葉身重と果実重および糖度との間には正の相関が認められた. 本技術により, スイカの裾換気型トンネル栽培における定植から着果期までのトンネル換気作業の大半が不要となり, 全作業時間のうち約10%が削減可能と試算された.