抄録
ニホンナシに対するエセフォンの摘花効果の作用機構について検討した.満開7日前に250 ppmエセフォンを‘豊水’花そうに散布処理すると,満開1日前には花序軸と花こう分岐部に離層の形成が認められ,満開2日後にかけてその形成割合は増加したが,無処理花そうではこの時期に離層形成は認められなかった.また,この期間中エセフォン処理花そうではエチレン発生量が著しく高くなった.また,花そうの花序軸,花こうおよび花中の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)含量およびアブシジン酸(ABA)含量の値は無処理花そうよりも高く推移した.しかし,インドール酢酸(IAA)含量には花そうのいずれの部位においても両処理区間に差は認められなかった.エセフォンを満開12日前から2日後の3時期に処理したところ,処理時期によりエチレン発生量は異なり,その発生量がより多くなる時期の処理ほど着果率は低くなる傾向にあった.以上の結果から,エセフォンは花そうのエチレン発生量を増加させ,離層形成を促進することによって摘花効果を示し,その効果の多少は花そうから発生するエチレン量と関連していることが推察された.