園芸学研究
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育種・遺伝資源
がく片が脱離しないデルフィニウム種間雑種の作出
徳弘 晃二棚瀬 幸司市村 一雄天野 正之
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キーワード: B10, 花持ち
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2006 年 5 巻 4 号 p. 357-361

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抄録

デルフィニウムの種間交雑による品種育成を行う中で,STSによる前処理をしなくてもがく片が脱離しない個体を見出した.
D.elatum系品種の‘マジックフォンテンホワイト’を種子親,D.grandiflorum系品種の‘ブルーミラー’(‘BM’)を花粉親として交配を行い,胚珠培養によって植物体を育成した.開花に至った18個体中17個体は,ベラドンナ系に似た草姿,花形であったが,1個体のみ‘BM’と同様のわい性の個体(‘M8-16’)が見出された.フローサイトメトリーによる調査の結果,ベラドンナ系に似た個体は3倍体,‘M8-16’は4倍体であると推定された.
‘M8-16’に‘BM’を戻し交雑して得られた3個体の内,花持ちが極めて長く,がく片の脱離が見られない個体が1個体見出され,‘B10’と名づけた.‘B10’の小花を収穫し,花持ち性を調査したところ,‘B10’はがく片が脱離せず,その花持ち性は‘ベラモーサム’に比べ有意に長いことが明らかとなった.

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© 2006 園芸学会
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