2006 年 5 巻 4 号 p. 375-379
モモの大苗育成を目的とし,育苗容器および土壌水分管理の違いが1年生苗木の生育ならびに定植後の収量に及ぼす影響について検討した.
1) 土壌水分管理が同一であれば苗木の生育は,不織布ポット(側面:透水性遮根型不織布,底面:貫根型不織布)がプラスチックポットより優れた.
2) 不織布ポットを使用すれば,無かん水条件でもプラスチックポットのかん水条件(pF 2.6に達した時点で20 mmの自動かん水)と同等の苗木育成が可能であった.
3) 不織布ポットのかん水条件で育成した苗木の1樹当たり収量は,定植当年に約5 kg,定植2年目には約9 kgであったのに対し,プラスチックポットのかん水条件では,定植当年に約2 kg,定植2年目には約3 kgであった.
以上の結果から,不織布ポットの使用により,定植当年から収穫可能な苗木を省力的に育成できることが明らかとなった.