園芸学研究
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解説
携帯型マンセル色票計による野外でのトウツバキの花色測定
中田 政司王 仲朗魯 元学馮 寶鈞王 霜管 開雲神戸 敏成
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キーワード: 園芸品種, ツバキ属, 雲南省
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2008 年 7 巻 1 号 p. 139-143

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抄録
マンセル表色系に従って検体の色を色相(hue),明度(value),彩度(chroma)の3属性の数値として表示するカラーリーダーCR-11(コニカミノルタセンシング(株)製)を用い,トウツバキの花色を調査した.楚雄市紫溪山に自生する1本の若いトウツバキについて,5花の全花弁の向軸面,背軸面の色を測定した結果,2花で最外側の花弁に,1花で内側の花弁1枚に違いが見られた他はすべて同じ数値(7.5RP 4/12)であり,花色は個体内で安定していた.楚雄市紫溪山および黒牛山の樹齢500~800年の自生トウツバキ古樹について測定した結果,個体内ではほとんど変異がなく,個体間では7.5RP 4/12,10RP 3/10,5RP 4/12,10RP 4/12などの花色の変異が見られた.園芸品種‘大理茶’と‘睡美人’について満開の花と老化した花とで測定を行ったところ,‘大理茶’では7.5RP 4/12,‘睡美人’では2.5RP 6/10が満開の花の最頻値であったが,老化した花では色相,明度,彩度に変化が生じていることが明らかになった.携帯型マンセル色票計による花色測定は,時間や調査環境など制約の多い野外調査で花色を記録する場合や,多量のデータを取って花色を比較分析する場合に優れた方法と考えられる.
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© 2008 園芸学会
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