抄録
ホウレンソウの葉の表面に白色で球状の顆粒が頻繁に観察される.異物ではないかとの消費者の疑問に答えるため,解析を行った.本顆粒の直径は0.1~0.2 mm程度であり,葉の表面から出た突起に接続していた.白色顆粒は水には溶けず,クロロフォルム/メタノールで破壊された.硫酸アンモニウム溶液中で球にくぼみが観察された.水分は約90%含まれていた.このことから,本顆粒は,脂溶性の半透膜中に水溶液が閉じこめられたものと推定できる.本顆粒の水抽出液を分析した結果,遊離糖は含まれず,シュウ酸,クエン酸,リンゴ酸を含んでいた.