抄録
カキ‘西条’の樹上軟化防止を目的に,硫酸Mnの葉面散布,Mn肥料の土壌施用および土壌pHの酸性化の効果について検討した.硫酸Mnの葉面散布処理による,葉,ヘタおよび果肉中Mn含量向上効果はみられなかった.しかしながら,イオウ華施用により土壌pHを4.5程度に矯正し,さらにMn資材を施用することにより,葉,ヘタ,果肉および1年生枝中Mn含量が著しく増加するのに伴い,果実のエチレン生成が抑制される傾向が認められ,樹上軟化の発生が減少した.樹上軟化多発園において,成熟期の果肉中Mn含量が100 ppm以上になるように,土壌pHの矯正とMn資材を施用することにより,樹上軟化発生を抑制できる可能性があると考えられた.