園芸学研究
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追熟中のセイヨウナシ‘ル・レクチエ’における非破壊法による果実特性の評価
知野 秀次松本 辰也太田 祐樹児島 清秀
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2009 年 8 巻 1 号 p. 109-114

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抄録

セイヨウナシ‘ル・レクチエ’における追熟中の果実の第2共鳴周波数および弾性指標(振動応答技術によって測定された剪断係数の相対値)を新規の非破壊測定装置でモニターした.さらに,果実重,果肉硬度および可溶性固形物濃度の変化を測定し,弾性指標と果実特性との関係を示した.収穫時の果実の弾性指標は48~65(×106)であり,追熟中に低下した.弾性指標の低下パターンは果実によって異なり,処理後40日に可食状態に達した時の弾性指標は18~25(×106)であった.個々の果実おける物性の変化を弾性指標によって連続的に追跡でき,収穫時の果実の品質や追熟中の軟化パターンの違いが完熟時(処理後40日)における熟度のばらつきの原因になることが示唆された.果実重および果肉硬度は追熟中に低下したが,可溶性固形物濃度は上昇し,これらの果実特性は弾性指標と相関があった.これらの結果は,追熟中の‘ル・レクチエ’果実の可食期を弾性指標によって推定でき,その弾性指標は含水率と可溶性固形物濃度の影響を受けることを示唆している.

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© 2009 園芸学会
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