抄録
野菜の品質向上を目指した品種・栽培・貯蔵などに関する研究の効率化には,客観的な品質評価法の確立が重要である.ここでは,異なるダイコン品種を用い,生および浅漬け加工後のテクスチャー(硬さ)について物性測定機器による評価法を検討し,官能評価による硬さ評価値と整合性の高い客観的評価法を開発した.すなわち,ダイコンの各部位から調製したディスク試料(直径10 mm,厚さ5 mm)について,テクスチャーアナライザーを用い,直径25 mmアルミニウム製円筒型プローブにより圧縮したときの破断時荷重により,硬さを評価できた.浅漬けの場合,この破断時荷重に試料間で約13 N以上の差があれば,官能により硬さの差を明確に識別できると考えられた.また,生および浅漬け加工後の試料の硬さに品種間差異が認められ,これらはペクチンおよびAIS含有率と密接に関係していた.