園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
育種・遺伝資源
ニホンスモモ‘貴陽’における生殖器官の特徴と倍数性
大林 沙泳子八幡 昌紀仲條 誉志幸藤井 明子向井 啓雄原田 久高木 敏彦
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 8 巻 4 号 p. 407-412

詳細
抄録

ニホンスモモ‘貴陽’の結実不良の原因を解明するために,いくつかの基礎的な調査を行った.‘貴陽’は‘太陽’より早期落果が激しく,満開56日後の落果率は‘太陽’が80.4%であるのに対し,‘貴陽’では95.5%であった.不完全花の発生頻度と花柱内での‘ハリウッド’花粉の花粉管伸長には両品種に差がなかった.一方,‘貴陽’の花粉は‘太陽’よりも大きさにばらつきがみられた.花粉稔性は,‘太陽’の染色率と発芽率がそれぞれ91.6%と47.6%であったのに対し,‘貴陽’のそれらは70.4%と3.2%であり,‘太陽’と比較して著しく低かった.さらに,‘貴陽’では種子の大きさにもばらつきが認められ,完全種子の出現率(71.3%)は‘太陽’(93.0%)より低かった.最後に,‘貴陽’の倍数性を解析した結果,染色体数24本を有する三倍体であった.

著者関連情報
© 2009 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top