抄録
高温・高湿度管理を行うキュウリの促成栽培における作業の快適化を目的として,温度管理が室内の温熱環境,作業者の労働負担およびキュウリの生育,果実収量,果実品質,病害の発生に及ぼす影響を明らかにした.収穫作業を行う9時30分~11時30分までの換気温度を25℃にすると,慣行栽培である29℃に対してWBGTが低下し,作業者の心拍数の上昇は抑制され,施設内での労働負担が軽減された.また,11時30分~13時30分までを38℃にするとキュウリの上物収量が低下し,曲がり果の発生が増加し,果皮色は淡くなったが,33℃では慣行の温度管理と同等の収量・品質を維持することができた.さらに,33℃変温区は慣行区の29℃に比べてうどんこ病やべと病の発生が少なく,薬剤散布の労力やコストの削減につながるものと考えられた.