抄録
キンカンにおける開花前の土壌乾燥処理が,1番花の開花促進や樹体内成分,果実の収量に与える影響を解明し,キンカンの生産性向上を目的として研究を行った.十分に灌水した対照区,10日間乾燥条件にした10日乾燥区および20日間乾燥条件にした20日乾燥区の3つの処理区を設定し,新梢伸長停止2週間後から土壌乾燥処理を開始した.20日乾燥区では,対照区に比べて1番花の開花数が増加した.10日乾燥区および20日乾燥区において,根の全糖含量が増加した.一方,葉,枝および根のデンプン含量は減少する傾向がみられた.また,ABA含量は10日乾燥区および20日乾燥区の葉および根において,有意に高かった.1番花の開花数は,20日乾燥区において増加した.以上の結果から,春枝の伸長停止後から乾燥条件下に置くことに伴うABA含量の継続的な増加,および浸透圧調節機能による炭水化物代謝の変化が1番花数の増加に関与しているものと考えられた.