メンタルヘルス面で不安を抱えながらハローワークを訪れる人の中には,福祉的就労サービスの利用になじまない求職者が存在する。キャリアカウンセラーはこうした求職者の心情に配意しながら,求職者が納得のいく就職活動を行えるようにし,実際に何らかの就労につながるような支援をしていく必要がある。就労をリカバリーの機会と捉えるIndividual Placement and Support(IPS)の基本的な考え方に基づき,求職者本人の体験過程を尊重するキャリアカウンセリングを行うことは,こうした人たちの就職支援に有用であると考えられる。本稿では,上記アプローチを土台にする支援の方法について,求職者がハローワークの一般就労窓口に来談してから応募に至るまでの時期の支援を中心に,仮想事例エピソードを交えながら提案する。