上海市と北九州市の乳幼児を持つ保護者を対象に,2019年9月~12月の期間に,質問紙調査を実施した。本研究の目的は,①子育て意識・態度と,②子育てに関わる環境(家族・親戚関係及び物的環境)の結果から,環境及び文化の日中比較を通して,その特徴を考察することである。
今回の国際比較調査によって明らかになった①子育て意識・態度の結果は,「子育てを楽しい」と感じているのは,日中共通して,母親より父親の方であった。特に,日本の父親は「子育てをとても楽しい」との回答が60.3%と高い。
また,日中において父親よりも母親の方が,子育てに対して悩んだり,困ったりしているとの回答が約10ポイント高く,同じ傾向を示していることが明らかになった。そして,子育てに不安を感じる人は日本よりも中国の方がやや多いという結果であった。
次に,②子育てに関わる環境(家族・親戚関係及び物的環境)の結果では,中国では祖父母の育児への関与があるとの回答が約80%あり,日本の約50%に比較して大変高い結果が出た。その関与の実態や父母の育児感情に及ぼす影響などについては,今後の課題としたい。