人間科学
Online ISSN : 2434-4753
実践報告
「共感を生きる」ことの重要性~ロジャーズの共感論検討から見えたこと~
中村 昌広樋渡 孝徳村山 正治村山 尚子北田 朋子中山 幸輝藤元 慎太郎
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キーワード: 共感, ロジャーズ, 過程, PCA
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2024 年 6 巻 p. 48-55

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抄録

カール・ロジャーズが早い時期にその意義を提唱し以来パーソンセンタード・アプローチ(PCA)注1)の中で重視されてきた「共感」について,近年様々な分野で取り上げられるようになっている。本報告は共感実践が抱える問題に対して7名の執筆者がロジャーズの文献による理論検討,調査研究,臨床報告に基づいて検討を行ったものである。ロジャーズの共感論を読み込むと,共感の2つの側面(「状態」と「過程」)の間を彼が揺れ動いていることがわかる。近年,「状態」の側面に関して共感の有効性のエビデンスが蓄積されている。このことには大きな意義があるが,臨床の場でさらに重要なのは「過程」の側面,すなわち「共感を生きる」ことであり,そうした体験を共有することであると考えられる。本稿では4つの具体的な場面における「共感を生きる」体験を取り上げて記述する。

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