2015 年 1 巻 p. 55-63
本稿は本学会において健康経済・経営・会計部会を設置した背後にある問題意識を明らかにし、方向性を示唆するものである。まず、人々の健康水準が社会に与える影響を考察し、医療費以上に 労働損失が大きな部分を占めていることを推計した。その上で最安価損害回避者の原理をもとに、労働者自身以上に雇用主の責任を重くすることが合理的であることを示した。その上で、企業経営 と健康というテーマの研究に対して、人事経済学の視点も交えつつ考察を加えた。最後にこうしたこれまでの研究成果や問題意識を踏まえて、部会の方向性について考察を披露した。