フランスはヨーロッパ諸国の中でも自殺死亡率が高く、その解決が長年、公衆衛生学政策の課題となっていた。そのため、地方保健政策優先課題-医療計画(PRS-SROS; Priorité Régionale de la Santé – Schéma Régionale de l’Organisation Sanitaire)においても、その具体的な改善目標と対策、そしてその効果検証が行われてきた。さらなる自殺対策を進めるためにフランス政府は自殺対策のヘッドクオーターとしてフランス保健省内にObservatoire national du suicide (ONS;全国自殺観察機構)を設置し、基礎医学研究、社会科学的研究および自殺予防実務を総合化する体制整備を進めている。
職域においては従来の産業保健対策に加えて、労働者のメンタルヘルス対策の推進を法制化したことで、外部のEAP組織の活用などが活発化し、改善が進んでいる。