2023 年 8 巻 p. 39-49
高齢化に伴い急性期から慢性期、入院・入所と在宅、医療と介護のニーズの複合化が進んでいる。この状況に対応する評価手法の開発が急務となっているが、複合化されたニーズの多くは現行の重症度、医療看護必要度(以下、看護必要度)で把握している情報である。そこで、本研究では福岡県を中心とした九州地方の急性期以後の医療介護サービス事業者の利用者を対象として、看護必要度の各項目の値及び主な傷病の有病率を用いて、施設の類型化をその利用者の状態像比較を行った。
上記の情報を説明変数としてクラスター分析を行った(平方ユークリッド距離を用いたグループ間平均連結法)結果、対象施設は1群(地域包括ケア病棟)、2群(回復期リハビリテーション病棟)、3群(医療療養病棟)、4群(介護医療院、老人保健施設、特別養護老人ホーム)、5群(訪問看護)の5つに分類された。A項目及びB項目の得点、対象とする傷病の状況は5つの群で異なっており、各機能の特徴が明らかとなった。
この結果は看護必要度を用いて施設類型を行うこと、そして異なる施設類型における看護の手間を統一して評価できる可能性を示唆するものである。