生存圏研究
Online ISSN : 2758-4259
Print ISSN : 1880-649X
リグニンの創薬資源化
岡部 由美
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2025 年 21 巻 p. 21-26

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抄録
我々の生活を支えている燃料、プラスチック、化成品、医薬品等には、芳香環を持つ化合物が数多 く存在する。そのため、物質生産における天然の芳香環骨格の供給源として、植物細胞壁成分の 1 つ であるリグニンが注目されている。その利用法の研究開発は目覚ましい進歩を遂げている一方で、医薬品のような化合物構造と作用機序の解明が重要となる利用法に向けた研究は、未だ拡大・発展の余地が多く残されている。将来的な医薬品用途利用を目指し、リグニン・リグノセルロース由来の生理活性物質の創出および探索を目指したこれまでの研究は主に、二つに大別できると考えられる:1分解したバイオマスから有機合成のパーツとなる小規模分子であるビルディングブロックや、合成の出発物質となるリグニン由来プラットフォームケミカルを単離し、より大きく複雑な化合物へと合成・修飾していくアプローチ、2バイオマス中のリグニンを処理・分解して得た混合物(画分)としてのリグニンを評価するアプローチ、の二つである。本稿では、著者が進めてきた木質バイオマスからの生理活性物質創出を目指したこれまでの研究成果を含む、世界で行われているリグニン由来の生理活性物質創出・創薬に向けた研究を紹介し、リグニンの創薬資源化についての現状の整理を試みる。
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© 2025 京都大学生存圏研究所
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