抄録
2000 年代初頭以降に加速したタンザニアの経済成長は都市部の発展を促進し、それに伴って森林資源としての木材需要も急速に拡大した。需要の増大は森林への産業的伐採圧を高め、同国内の森林資源は減少している。持続可能な森林経営の手法として、熱帯の開発途上国を中心に住民参加型森林管理(Participatory Forest Management: PFM)が導入される中、タンザニアでも 1990 年代後半から PFMの制度整備と実装が進められてきた。しかし、経済成長に伴う人口増加と農業の拡大により、特に農村部では森林保全と生活の両立が困難になる事例も多い。本稿では、タンザニアの森林事情と PFM の制度構造、さらに換金作物を中心とする農業の拡大が森林に及ぼす影響を整理し、PFM を実効的なスキームとして機能させるための条件を考察する。特に、森林認証制度を基盤とした地域参加型森林経営の先進事例の取り組みを紹介し、地域社会・市場・制度が連携した森林保全モデルの可能性と限界を検討する。