人間福祉学会誌
Online ISSN : 2435-9254
Print ISSN : 1346-5821
学童期自閉症スペクトラム児の母親における 困難への対処に伴う体験のプロセス
西村 智恵子高野
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 19 巻 2 号 p. 17-24

詳細
抄録

本研究は、学童期自閉症スペクトラム(以下、ASD)児の母親における困難への対処に伴う体験のプロセスについて検討することを目的とした。学童期ASD児の母親8名を対象にインタビュー調査を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的分析を行った結果、以下のような体験のプロセスが示された。(1)学童期ASD児の母親は子育てにおいて【子どもの特性理解と対応】の試行錯誤を繰り返す中で、【行動問題の多面的理解】や【子どもの変化への気づき】の段階へと進み、子ども理解を深めていく。(2)子ども理解が深まるにつれて、【母親自身の生き方の変化】が促され、それが【母親の困惑】を軽減することにつながっている。(3)【ソーシャルサポート】は、これらのプロセスの促進要因としての働きを持っている。以上のようなプロセスを踏まえ、各段階の課題を的確に把握することが、学童期ASD児の母親支援において重要であると考えられる。

著者関連情報
© 2020 人間福祉学会
前の記事 次の記事
feedback
Top