抄録
本稿の目的は、テキストマイニングの手法を用いて、自治体ウェブサイトが発信する生活保護に関するメッセージの全体像を客観的に可視化し、その構造的特徴を明らかにすることにある。
分析対象は、三重県内の福祉事務所設置13市町のウェブサイトから収集したテキストデータとし、KH Coder による共起ネットワーク分析を実施した。
分析の結果、ウェブサイトのメッセージは、①制度の理念・権利、②申請・相談プロセス、そして③補足性の原理・義務という、3 つの主要なクラスターから構成されていることが明らかになった。
特に、「補足性の原理・義務クラスター」内の単語群は極めて強い結束性を示しており、申請者が果たすべき義務や前提条件が強く強調されている構造が客観的に示された。このメッセージ構造は、申請を検討する住民の「心理的コスト」を増大させ、スティグマを助長し、結果として制度利用をためらわせる「心理的な情報の壁」として機能している可能性がある。
本研究の意義は、これまで質的な解釈に委ねられることの多かった行政メッセージの内容を、客観的な手法で網羅的に分析し、その背後に潜む構造と力点を可視化した点にある。