抄録
本研究は、「子育て支援」充実への強い社会的要請を受け、子供の発達からみた育児環境に必要な要素を加味し、1)生活の多様性,2)情緒的・言語的反応性、3)制限・罰の回避、4)自主性の尊重、5)物的なかかわり、6)外部社会との接触、7)安全な物理的環境、8)社会的サポート、を枠組みとする新しい評価法(育児環境評価、Evaluation of Environmental Stimulation, EES)を提案するとともに、1歳6か月児及びその養育者388組を対象に、子供の発達、要支援リスク、兄弟、育児ストレスとの関連から、育児環境評価の特徴及び課題を整理した。子供と環境の相互作用の適切性に焦点を当てる評価法は、実践場面において保健福祉支援を行う際のアセスメント手法として有効である可能性が明らかにされた。