日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
原著
福祉職への就職意思に影響を与える要因の質的検討
相談援助実習を終了した大学生へのインタビュー調査を通して
小松 智子内田 若希
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2016 年 23 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

目的:福祉系学部に在籍する大学生について、福祉職に就くことへの意思に影響を与える要因を探索的に検討し、福祉分野の実習教育における必要なプログラムの提供や支援のあり方を提示する。

方法:就職意思を具体的にしていくまでの個人的な背景や実習での体験内容の詳細について明らかにしていくため、個々人への丁寧な聞き取りを通して、より深く理解していくことを主眼においている質的なインタビュー調査を半構造化面接にて実施した。

結果:質的分析の結果、【進学に対する動機】【実習意欲】【実習での体験】【自己成長】の4 つの概念的カテゴリーを生成した。この概念的カテゴリーから「能動的な【進学に対する動機】や実習先のマッチングによる【実習意欲】の高まり、ポジティブな【実習での体験】が【自己成長】に影響を及ぼし、福祉職に就くことへの意思が高まる」という概念モデルを構築した。また、福祉職に就くことへの意思が高まったかどうかに関わらず、実習体験により、福祉職に求められる資質への気づきがあった。

結論:実習に臨むまでのプロセスにおいて、内発的動機づけや自己理解を高め、ネガティブな体験をした際のストレス対処方法への学びをサポートすることの重要性が示唆された。

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