国際P2M学会誌
Online ISSN : 2432-0374
研究開発の海外アウトソーシング・プロジェクトにおけるブリッジ人材の役割
―欧州自動車エンジニアリング・サービス・プロバイダにおける事例研究―
市村 謙太郎下田 篤
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2022 年 16 巻 2 号 p. 128-146

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抄録
グローバルな協業が加速している自動車業界では、研究開発においても水平分業化が進んでいる。本稿では、欧州自動車エンジニアリング・サービス・プロバイダ (ESP) における事例研究により、研究開発の海外アウトソーシング・プロジェクトにおけるブリッジ人材の役割を論じる。グローバルな協業ではブリッジ人材の役割が重要となるが、従来、研究開発プロジェクトにおけるブリッジ人材の役割や望ましい行動について報告された例は少ない。そこで、本稿では、ブリッジ人材の経験者へインタビュー調査を行うことにより、その経験知を概念化することを試みた。その結果、顧客の自動車メーカや欧州のESPとの相互行為を通じて顧客との信頼関係を構築することに加えて、研究開発の不確実性のマネジメントや技術マネジメントも求められている点で、その役割の難易度が高いことがわかった。また、P2Mの観点では「自社の技術的アウトプットを顧客プログラムのアウトカム最大化に結びつける役割」を明らかにすることができた。
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© 2022 International Association of P2M and Authors
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