抄録
新人看護師は、就職すると複数の患者を同時に受け持ち、患者の状態観察や患者の訴えに対応しながら優先順位を判断し、多重課題を解決するための能力が求められる。しかし、看護基礎教育においては、複数の患者を受け持つ実習は最高学年での統合実習のみである。統合実習を効果的に取り組むための実習前演習(事前指導)や実習後の効果的な振り返り(事後指導)は各教育機関ならびに各担当看護教員の裁量に委ねられている場合が多い。この問題を解決するために、2021年にP2Mの3Sモデルを利用して中長期計画を立案し、その計画に基づいて事前・事後指導で活用するシミュレーション方法を開発した。本論文では、中長期計画とその実績を示し、P2Mの統合マネジメントを活用した事前・事後指導法の開発方法とその内容、およびその評価結果を示す。