日本の伝統的優良企業は「失われた10(13)年」において、チームワークなど自己の強みを残しつつ、英米型モデルに見られる株主最重視、意思決定の迅速さ、成果主義を少なくとも部分的に経営に取り入れ(=「ハイブリッド経営」)、あるいは、収益基盤修正改革を行うことにより、収益力を回復した。おりしも、政府部門の改革、金融取引のビッグバンが行われていたことにより、外国人投資家は日本の変化に着目、日本株への投資を拡大、企業総資産価値は上昇、好循環につながった。だが、ハイブリッド経営にも弱点があり、その克服努力が必要である。また、日本の得意な「摺り合わせ型技術」という観点からの産業政策論が注目されているが、経営力強化策や市場判断を織り込まない「モノづくり・あるべき」論の独走は危険だ。