本稿では、サービスに対する考え方の歴史を概観したうえで、従来にない包括的なサービスの定義および実用的分類を試み、そこからマネジメント上の含意を導出する。更に、進む製造業のサービス化の本質に言及し、サービス分類を利用してその類型化を提示した上で、今後のサービスの進化の方向性に関する仮説を述べる。後半では、日本企業がサービス化する経済に対応していくためには、日本のインスティテューション(≒社会経済文化システム・体質)に対する洞察が必要であるという問題意識から、どういう類型のサービスが日本本来のインスティテューションと親和性があるかについて論ずる。その際、インスティテューションの構造化を試み、先のサービス分類に照らして、日本のサービスの優位性・劣位性について分析を加え、日本的サービスの道筋に光を当てる。