抄録
大規模感染症の社会シミュレーションのための基本モジュールを病態モジュール、感染モジュール、人間活動モジュールの三つに分けて設計した。また感染対策をウィルスや菌の排出抑制対策、場や個人の汚染の減衰対策、個人汚染防止対策、空間密度対策などをフィルター概念で把握し、その対策フィルターの重ね合わせにより感染症防止の社会対策をデザインする方法論を導入した。エージェントベースの社会シミュレーション言語SOARSの上でインフルエンザの感染プロセスと病態モジュール、対策などをシンプルなモデルとして実装し、様々な対策の効果をSOARSグリッドシミュレーションによりランドスケープサーチを行い解析した。その結果、対策フィルターの積を横軸、感染率を縦軸とした比較的明瞭な分岐プロセスが見られることが確認された。新型インフルエンザのパンデミック対策にこの対策モデルに基づいて、P2Mによる社会的感染対策の計画と評価を行った。