抄録
今日、情報システムはますます広域化、巨大化、複雑化しており、また、開発期間の短縮やシステム相互間の連携、開発・保守の同時並行的な実施などが要請されている。このような状況にも拘わらず、情報システムの開発現場では、その大半が依然として個別システム毎のプロジェクトコントロールによって開発されている。システム環境が複雑化している中で、品質と生産性を高く保ちながら複数のシステム開発を相互に矛盾なく遂行するためには、P2Mの情報マネジメントにおいて、プログラムマネジメントサイクルの中核にデータアドミニストレータ(DA)をおくことが有効である。本稿では、DAが本来果たすべき役割と、DA機能が定着しなかった要因を分析した上で、システム開発のプログラムマネジメントにDAがどのような役割を果たしうるか、を検討する。