抄録
ITシステムを取りまく利害関係者が、投資の効果とリスクに関する情報を容易に共有できる枠組みについて論じる。まず、ITシステムを有効に活用するための要件を反映できる投資効果の評価関数を導入し、戦略型や業務改善型などの投資目的の違いによって、評価関数を最大化する主要因が異なることを定性的に示す。次に、プログラム・プロジェクトマネジメントにおける情報共有の手段として、本評価関数の活用手順を述べる。最後に、期待値に対する確率分布を仮定し、モンテカルロシミュレーションによって、リスクの大きさが当初想定した投資効果に与える影響の視覚化の例を示す。