抄録
昨年の秋季研究発表大会で、ナラティブアプローチを用いたマンガ教材による研修が実践的な知識伝達に有効であるという報告を行った。同じ教材を用いて本学会会員(実務家主体)を対象に研修を行ったところ、前回の報告と同様に、受講者の高い満足度が得られたことを報告する。参与観察により、研修のフェーズによってグループ討論の牽引者が異なることがわかった。また、課題解決の判断材料が主に背景情報と登場人物の表情であること、判断基準は受講者の過去の体験に依存することが定性的に確認できた。受講者の想像力を引き出し、研修効果を高めるためには、複数のシナリオが矛盾なく存在する物語の設計と現実感のある描画技法が重要である。