政策実行の停滞、産業競争力の低下、変わらぬ日本的経営により、失われた30年の経済悲観論が危惧される。その論点はグローバルな環境変化に柔軟適応できない変革意識と実行遅れの姿が映る。我が国には高齢化、円高、グローバル競争、デフレ経済のもとで、低業績企業の意思決定遅れや意欲減退が顕著であり、組織柔軟性も失われている。しかし、逆境のもとで高業績を誇る独創企業も多数存在する。その共通属性は、優れた次世代ビジネスモデルによる革新的戦略と実行を遂行した企業にある。本論では特に綜合商社にフォーカスして、イノベーションによる価値創造機構と要素を分析する。さらに、製造業、サービス業における優良企業と比較検証し、複合事業の内部統制と相乗効果を意図するタテ軸のインテグレーションと組織活性化に効果的なヨコ軸のインテグレーションを解説する。