水環境学会誌
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技術論文
自立型トイレの洗浄水を再生する浄化ユニットの水処理性能
横手 亮太谷口 崇至橋本 純中野 和典
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2020 年 43 巻 3 号 p. 69-78

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抄録

本研究では, 電気や上下水道インフラから独立した運用が可能な自立型トイレの開発を目指し, 水の循環に必要な最小限の動力だけでトイレ洗浄水を再生する浄化ユニットを試作し, 水洗トイレと組み合わせて試験運用を行った。その結果, トイレの使用回数が897回 (大便218回, 小便679回) に達しても, 洗浄水の色度を30度未満に維持できた。しかし, 浄化ユニットだけで大腸菌を完全に阻止することは困難であり, 衛生的安全性を保障するには殺菌対策が必要であることが明らかとなった。トイレの使用回数と洗浄水の水質から推定したCODMn, 全窒素及び全リンの除去率は, それぞれ99%, 83%及び98%程度であり, トイレの使用頻度に関わらず高いレベルであったことから, ろ過や吸着による物理化学的作用と生物膜による生物学的作用の両方が働く多段型ろ床を浄化ユニットとすることでトイレ洗浄水を安定して再生できることを実証できた。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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