抄録
人工物としての複雑なシステムの設計とその実現のためのプログラム・プロジェクトのマネージメントは、今日の大規模で複雑化した社会の中でのシステムデザインと実現の方法としてますますその重要性を増してきている。そこでは基礎的な科学から社会での実践や合意形成に至るまで、異なった知を縫い合わせて一つのプログラムを構成する領域透過的でトランスレーショナルな知の構成が要求される。もともと領域を越えた知を繋ぐという概念と方法は、一般システム理論の様なシステム科学によって提唱されたものであるが、今日では医学の領域で広くトランスレーショナル医学という概念が用いられている。本稿では様々な社会的価値の実現のために基礎科学から人工物としての社会のアーキテクチャのデザインから実現までを扱う、トランスレーショナルなP2Mについて、これをトランスレーショナルなシステム科学とエージェントベースモデリングに依拠して論じる。