抄録
近年、地域活性化や社会課題の解決を目的とした地域創発型プロジェクトが注目されている。地域創発型プロジェクトは、地域のあるべき姿を実現すべく多くのステークホルダーが参加するプロジェクトであり、個々人の求める目標が多数存在するため、スタート時点ではプロジェクトとしての目標が曖昧になることが多い。一方で、個々人が持つ能力の総和を超えて、創造的な価値が生まれるプロジェクトである。地域創発型プロジェクトを推進させるためには、地域全体のプロジェクトを俯瞰する中で、創発されたプロジェクトの整理を行い、これらを包括するプログラムマネジメント手法が有用であると考えている。本稿では、神奈川県小田原市久野川における小水力発電導入プロジェクトを検証事例とし、「(1)プログラムマネジメント手法の導入」、「(2)プログラムプラットフォームの形成」、「(3)P2M人材(以下、地域内外のコーディネータ)の設置」による事例研究を実施した結果について報告する。