抄録
事業範囲の決定は企業のビジネスモデル構築における基本的要素だろう。では、事業環境に応じ、どの分野または工程を本業または多角化事業と位置づけ、どう先発企業や後発企業と分業を図り、望ましい事業範囲とすべきだろうか。本論文では国際分業理論を踏まえ描出した「分業推移図」をビジネスモデル構築へ応用し、その一環として本業とその後方連関産業である多角化事業とが垂直統合された場合のビジネスモデルの時系列変化の理論を提示する。そのうえで、電子機器とその後方連関産業である半導体素子・集積回路の垂直統合等の事例が理論と整合的であることを示す。このような時系列変化の理論はビジネスモデル開発の理論的基礎の一助となろう。