抄録
企業の社会的責任は、2 つの段階で考えることができる。第 1 段階は、企業が社会的存在であることから、一定の社会秩序に従うことが求められる段階で、企業が存続する最低条件になる。第 2 段階では、それにとどまらず、社会を構成する一員として積極的に機能する段階である。言い換えれば、目に見える社会貢献を企業自らが果たす段階である。企業の役割は拡散しつつあり、現代の社会では、これまで国および行政が行ってきた機能を肩代わりする場合がある。これは企業が社会の抱える課題と対峙する時、その柔軟性と機動性が存分に発揮されるからである。本稿では、さまざまな社会的価値が実現されている事例について考察する。