抄録
1994年の政治制度改革、2001年の省庁再編により、我が国の政策過程は「大きな方向性を示す層(第一アリーナ)」と「具体的な制度設計を行う層(第二アリーナ)」の二層構造へと変化したことが指摘されている。
今回、エネルギー分野(再生可能エネルギー、原子力)における政策過程をP2Mの理論を用いて考察することにより、プログラム、プロジェクトの二層の構造が成立していることを確認した。一方、プログラムとプロジェクトが混在している場合、スキーム・システム・サービスのモデル間の循環が十分でない場合には、政策過程の混流や制度設計の履歴効果という事象が生じ、一連の改革が、期待したほど好ましい結果を生じえていない事が明らかとなった。