抄録
DXやSXを含むプログラムは短期的な達成目標を示すことが難しいことが多い。本稿は「P2M理論の拡張に関する考察-実践的設計論の導入~」の補遺編であり、短期的な目標を機能・性能・費用などの数値で与えることが難しいプログラムにP2Mを適用する場合の課題を示し、設計論の立場から考慮すべき要件を論じる。まず、認識科学と設計科学の分類の観点から、P2Mは設計科学に位置づけられることを説明する。次に、企業におけるマネジメントを間接的な枠組みと直接的な働きかけという分類で考えると、成果物を作る場合はP2Mのスキームモデルとサービスモデルの間にユーザとのインタラクションを含むデザイン手法を取り入れることが有効である。組織変革を伴うプログラムを成功させるためには、関係者の合意形成を図るプラットフォームマネジメントが重要であることを説明する。