国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要
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秋田県内におけるヘリテージ・ツーリズムの可能性
根岸 洋
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 1 巻 p. 51-61

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抄録

秋田県は、重要無形民俗文化財の登録数が全国最多を数えるほか、考古学的遺跡、歴史的建造物群やその景観、近代化産業遺産、天然記念物、国立公園など、その価値が公的に認定された多くの種類の文化財を有する県として知られている。これら多様な文化財、文化資源が秋田県という一つの地域に集中しているのにも関わらず、これらが観光客誘致に貢献するような観光資源になっているとは必ずしも言えないのが現状である。観光客の動向を振り返ると、短期間滞在によってイベントのみを見にくる訪問者が大部分であるため、文化遺産の価値を十分に伝えることができていない。本稿では秋田県が有する豊富な文化資源を、持続可能な観光資源として位置づけることで、そのグローバルな価値と保全の啓蒙をはかるヘリテージ・ツーリズムの視座から捉え直し、「文化遺産」として価値づけることの意味について考察する。また幾つかの種類の文化遺産については具体例を取り上げ、「地域文化観光」における「地域性」の議論を踏まえた問題提起を行いたい。

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© 2015 公立大学法人国際教養大学アジア地域研究連携機構
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