2015 年 1 巻 p. 63-85
イスラム観光の概念は、観光産業の中でニッチ市場として発展をとげつつある。ムスリム観光客が訪れる観光地では、ハラル食品、旅行商品、宿泊サービスなど、彼らの需要を満たすような幾つかのサービスが提供されている。さらに、日本、韓国、台湾のような非ムスリム観光客の目的地においても、多くのムスリム観光客を誘致すべく、彼らに対応した施設やサービスが作られ始めているのが現状である。本稿では、秋田県のような非ムスリム観光客の訪問地において、ムスリムに対応した各種施設を提供する試みについて論ずる。言葉の壁、行き先の旅行会社と出発地の間に関係性がないこと、ムスリム観光客が求めるサービスについての情報が不足していること等の幾つかの問題が、秋田県をムスリム観光客を対象とした観光地へと成長させる上での主な障壁になると考えられる。