抄録
この論考では、秋田県角館町生まれの画家平福百穂の代表作に焦点をあて、その画業が頂点に達した時期に開催された1930年ローマ日本美術展の歴史的背景と意義、また出展した百穂の役割、またローマ展出席を兼ねた欧州各国視察を通しての、日本画・西洋画についての百穂の考察を探る。琳派に通じる洗練された装飾性とスケールの大きい躍動感あふれる構図を特徴とする、1926年制作の「丹鶴青瀾」及び「荒磯」(千鳥)、そして1930年ローマ展日本美術展に出品され、ムソリーニに贈呈された1929年制作の「荒磯」(鵜)の3作品をとりあげる。