2021 年 46 巻 1 号 p. 16-21
2018年1月から2020年11月の全国の交通事故の推移を既存の統計資料を用いて解析したところ、発生件数、負傷者数、死者数のいずれも経年的に減少しており、新型コロナウイルス感染症の出現後は、緊急事態宣言の期間中に交通事故の発生件数と負傷者数が一時的に著明に減少していた。しかし、交通事故の死者数は緊急事態宣言期間中に著明な減少は認められなかった。感染症の拡大防止のための人々の移動の制限は、交通事故の発生件数と負傷者数の減少をもたらすが、交通死亡事故の抑制までには至らないと考えられた。