印度學佛教學研究
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菩薩にとっての三十七菩提分法の意義
―― SAVBh ad MSABh XVIIIにおける経典からの引用の重要性について――
岸 清香
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2014 年 62 巻 3 号 p. 1260-1266

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抄録

スティラマティに帰せられるSutralamkaravrttibhasya (SAVBh)は,ヴァスバンドゥ著作として知られるMahayanasutralamkarabhasya (MSABh)の註釈書である.SAVBhはMSABhに対して詳細な註釈をつけているが,その特徴の一つが大乗経典からの引用を多用する点にある.SAVBh ad MSABh XVIIIでは,中心テーマである三十七菩提分法の分析の前項目である資糧の分析に対しても,『大宝積経』からの引用を用いて,三十七菩提分法という修行方法が大乗の教説として存在することを強調する.さらに三十七菩提分法を解釈するにあたって,三十七菩提分法を構成する一々の修行徳目に対して,『大方大集経』「無尽意品」からの引用を用いて解釈している.特に四念処の解説にあたっては,二種の点に対して経典引用を用いることにより,声聞よりも菩薩が優れていることを説明している.本論文では,これらSAVBh ad MSABh XVIIIにみられる経典からの引用を詳しく検討することにより,いかように大乗菩薩の修行方法としてSAVBhにおいて三十七菩提分法が理解されているのかを明らかにするものである.

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© 2014 日本印度学仏教学会
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