印度學佛教學研究
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日本における1990年代以降のジャイナ教研究
赤松 明彦
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2017 年 65 巻 3 号 p. 1115-1121

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抄録

1965年春にパリのコレージュ・ド・フランスで行われたルートヴィヒ・アルスドルフの講義は,西欧のみならず日本のジャイナ教研究にとっても,転換点を画するものであった.それは,ジャイナ教研究を,仏教研究のための補助的学問の地位から,インド学において独自の広がりと価値をもった研究分野へと押し上げるものであった.この講義録は,「ジャイナ教研究――その現状と未来の課題」として直後に出版されたが,これに示唆を得てジャイナ教研究を進めることになった日本の研究者もいたのである.この講義録には,ジャイナ教研究に関わるおおよそ10項目の課題(主として,聖典類の文献学的研究,語義研究に関連する)が示されている.本稿では,ジャイナ教研究の分野で,1990年代以降に日本で公表された研究業績の中から,その10項目の課題のうちの6項目に対応するもので,特に日本語で書かれた優れた成果を紹介した.本稿が意図するところは,内容的には極めて価値のあるものでありながら,国際的に必ずしも十分には知られていない現代日本のジャイナ教研究の成果について,その一部にせよ広く世界の学界に知らせようとするものである.

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© 2017 日本印度学仏教学会
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