印度學佛教學研究
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元暁の仏教思想にみる関係性と固有性
金 鍾旭
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2017 年 65 巻 3 号 p. 1302-1309

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抄録

ニーチェ(Nietzsche)以降の現代哲学は,不変の本体から変化する過程を “関係性” の文脈から探求し,伝統的な哲学において実体として認められていた事柄を事件として看做し,同一性より差異という概念に注目している. こうした傾向はつまるところ,“関係性の中から固有性を求める” ことに帰せられる.なお,元暁の思想では,縁起性の中から性自神解的な本性を求めることにこうした傾向が表れている.具体的に言えば,元暁は縁起的な関係性を代謝と決定性として理解し,それを心性論化して,人間の本性を一心の性自神解から求めている.なお,元暁以降に縁起的な関係に基づいて人間本来の固有性を探し求める試みは,韓国仏教の展開過程において華厳と禅の調和に継承されている.

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© 2017 日本印度学仏教学会
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